062990 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~赤~

    
人はいつか 「現実」から「白」へ辿りつく

人は 限りなく愚かだ
人は同じことを繰りかえす
戦火は再び巻き起こった
人という存在がなくならない限り 人は争い続けるのか
それは 人の命を奪わなければいけないことなのか
そんなことは 誰も省みない

少年は自ら戦火に飛び込んだ
それは 償いのためか
あるいは 復讐か
はたまた 狂気か
少年のみぞ知りえる 戦うその意味
そして少年は悟った

この世界に 「黄」は存在しない

大地に 空に 戦火は炎の如く広がってゆく
少年は その剣で何を得るのか……
水面下が奏でる 「赤」の世界
それは―― 少年が選んだ道

「赤」に駆り立てられ 剣を振るうことをためらわなくなってゆく
そして理解する
これが彼女の歩んだ道
人の 行き着くところ
少しずつ 「緑」が壊れてゆく
僕は許さない
彼女を 追い込んだ彼らを
お前たちさえいなければ 彼女は消えることはなかったのに
この世界が 美しい世界であることを分かることが出来たのに
そして憎む
この期に及んで この様な術しか取れない「緑」を
ただ 彼女の痛みを感じたかった
彼女の「追憶」を知りたかった
「緑」が壊れ行く道を見たかった

全ては 今は亡き彼女のことを知るため

人とは怖い
その順応力の高さは 人を殺すことさえ麻痺させる
だから 彼女は「緑」を失った

だから―― いなくなってしまった

もう何も知らないのは嫌だ

そしてそこにあったのは
「記憶」
「赤」
「緑」

そして銃弾の音にさえ「赤」を感じる
その後に襲われる 「追憶」
故に壊れ行く 「緑」

僕を元に戻せる人はもういない
元より もう戻せない

この戦いに 意義はない
そう気づいたのは いつからだったか
そして「碧」――


誰か 僕を止めてください


戦火とは人を「赤」に落とすものではなかった
人の 「緑」を壊すものだった
少年は 少女と同じ道を歩み続ける
その歩みを止められるのは――

「罪」に追われ 「現実」に襲われ 「記憶」に苛まれる
それは ここに「黄」が存在しないから
そして 今の少年に 「白」はない

戦いとは 人が「銀」に続ける 「紫」の象徴

やがて水面下は鏡のように穏やかになる
男は少年に手を差し伸べることは出来ない

一閃の煌きのごとく見せた
――「赤」の世界





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